中町 信のおすすめ『模倣の殺意』が面白い!
埋もれていた名作 中町 信『模倣の殺意』が面白いのでおすすめ
読んでみようと思いながらほったらかしていた中町 信の『模倣の殺意』をやっと読みまして、面白かったのでご紹介します。
⇩ネタバレ防止の反転文字にしてます。
叙述トリックを使ったミステリーと言えば今では大人気の定番ですが…『模倣の殺意』が発表されたのは40年以上も前で、まだそのトリックが確立されたものではなかったんです。
刑事たちが地道に事件を追いかけるリアリティのある社会派ミステリ―が流行していた時代だったこともあって、長いこと埋もれていたそうです。こんなに面白いのにモッタイナイ話…!
それが割と最近じわじわと人気が出だして、知名度もグッとupした模様。まだ読んでいない方は、ぜひ一度読んでみてください。
あらすじ
七月七日、午後七時、推理小説家の坂井正夫が死んだ。青酸カリによる中毒死だった。ドアには内側から鍵がかっており、坂井の死は世間から大きな注目を浴びることもなく厭世自殺として片づけられた。
坂井正夫に編集の雑務を依頼していた出版社の中田秋子は、彼の部屋で偶然見かけた女性が気になり、独自で調査を始める。
一方、ルポライターの津久見伸助は坂井の死を記事にする依頼を受け、彼について調べを進めるうちある疑惑が浮上し………。
中町 信『模倣の殺意』感想のような雑記のような
40年以上も前の作品なので、多少アンフェアに感じるところも出てくるかもしれません。しかしそれを加味しても十分に面白い。
坂井正夫という作家の死を独自に調査する出版社に勤める中田秋子と、ルポライターの津久見伸助、ストーリーはこの2人の視点が交互に進行していきます。
昭和の香り漂う言葉遣いや、短めの文章で淡々とつづられるような文体に最初はとっつきが悪くて慣れるまで少し時間を要しましたが、300ページくらいの厚さですぐに読めてしまいました。
ただ、現在では定番となったトリックなので、推理小説をいろいろ読んでいるミステリー好きは早くに察しがついてしまうかもしれませんが…書かれた時代を考えると斬新で革新的な作品だな~とフムフム。
初めてこのトリックにぶち当たった方は、衝撃的でより楽しめるんだろうなと思うと羨ましい読むべきです、推します('ω')
国内で初めてこのパターンのトリックを使った記念すべき作品でもあるので、叙述トリック好きなら、たとえ真相に察しがつくとしても読んでおきたいですね!
中町 信作品はこの『模倣の殺意』が初めてでしたが、他の作品も読んでみたいと思いました。面白いものを読んだらまたご紹介しますね。